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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

インドへの船便探し

               ≪八月二十五日≫     -壱-




  大麻の余韻を残して、9:00に目覚める。


 どうやら密告はなかったようだ。


 今日は二人ずつ組んで。三組に別れて行動しようと言う事になった。


 待ち合わせ場所は、アートコーヒー。


 時間は13:00~14:00。



  俺は若狭と二人で、ペナン~マドラス間の船の情報を探る事。


 インド洋の船旅は途中死者が出たと言われているルート。


 一時はしり込みをする。


    会長「お前らなら、やれる!あのインド洋の荒波に耐えられる

         のは、お前らしかおらん!大々的に本に載せてやるから

         頑張ってくれ。」


 情報を探るという事は、見つければ、そのルートを責任を持って開拓

しろと言う事に他ならない。


 俺達はおだてに乗ってしまったのだ。



怖い物知らずと言うか、その気にさせられて、今更弱音は吐けな

い。


 船の情報を求めて、しぶしぶ五六箇所の小さな代理店をまわる事にし

た。



  最初に覗いたのが、昨日岡本女史に聞いたJ-トラベルの事務

所。


 この代理店は、ホテルからすぐ近くの所にあり、旅行者の間では有名

らしく、この日もかなりの旅行者が訪れている。


 部屋の中は狭く、カウンターの中では三人の女の子が流暢な英語を駆

使して、チケットの受付や、旅の情報を教えている。



  我々の姿を目にする。


    女の子「ハ~~~~イ!、コンニチワ、ゲンキ!」


 片言の日本語で話し掛けてくる。


 しかし、親しみやすいのはここまで。


 ここからは、流暢な英語が飛びかうのだ。



    俺  「すんません、ペナン~マドラス間のチケットあり

            ますか?」


      女の子「ゴメンナサイ!ここは飛行機のチケットしか扱っ

            てません。」


      俺  「エエ??そうなんですか!」


      女の子「スミマセン!」


 壁には、バンコックから世界各地へ飛んでいる飛行機料金が、大きな

文字で書かれていた。



  バンコック~東京は、150$(≒45000円)



    俺  「次、行こか!」


 次のワールド・トラベルで、やっと船の情報を手に入れることに成功

した。


 しかし、夢は無残にも打ち砕かれてしまう事になる。


 なんと、乗船料金が200US$(≒6万円)と高額な上、一ヶ月に一

便しか航行していないと言うのである。



    事務員「今月は九月六日に出航して、インドに九月十一日

            に到着します。どうされますか?」


      俺  「いいですわ!」


      事務員「・・・・・・・。」


      俺  「要するに、豪華客船という訳やな!」


      若狭 「そうみたい!」


      俺  「あかんわ!」



  ここでは、安いチケットを扱っていないので、直接ペナンへ行

って探してくれと言う事のようだ。


 何年か前には、40$の奴隷船があったと会長は言うけ

ど・・・・・。


 他に数件の代理店を聞いてまわるが、ここバンコックでは扱っていな

いとのことだった。


 待ち合わせ時間が近づいた為、待ち合わせ場所であるアート・コーヒ

ーに向かう。



  流しているオート三輪を捕まえる。


    俺 「アートコーヒーまで行ってくれ!」


 地図を見せて、流暢な?英語で言うのだが、どうも通じないらしい。


 親父は通りがかりの学生を捕まえて、なにやら聞いているがらちがあ

かない。


 ため息をついていると、もう一台のオート三輪(タクシー)が近寄っ

てきた。


 地図を見せると分かった様で、仲間に教えると納得したようだ。



    俺 「いくらだ?」


      親父「25バーツだ。」


      俺 「とんでもない!10バーツしかダメだ。」


      親父「20バーツだ。」  


 交渉決裂と、歩き出すと親父が怒鳴った。


      親父「15バーツ(≒225円)だ。」


      俺 「OK!」



  アート・コーヒーの近くでタクシーを降りて歩いていると、地

元の若者に声をかけられる。


    タイの若者「コンニチワ!ニホンジンノ、カタデスカ!ワタ

            シ、○○○トイイマス。アシタ、ニホンニ、イキ

            マス。ダイイチ・ホテルトマル。サッポ

            ロ・・・・スキー、ヤリマス。ドゥ-ユーノ

            ー?」


 片言の日本語で話し掛けてくる。



    俺 「近くで仲間と待ち合わせしてるからついて来い。紹

           介してやるから。」


 暫く一緒に歩いてきたが、アート・コーヒーの前まで来て、振り向く

と彼は消えていた。


      俺 「たぶん、詐欺師だろ。」


      若狭「ですね!」


      俺 「声を掛けてくる奴らは、九割がた詐欺師と見て間違

           いないけどね。」




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